空もとっぷりと暗くなり、東寺のライトアップが一層迫力を増すころにMicheal Nymanが登場。何も言わずピアノに向かい、堂々たるピアノソロを見せてくれた。美しい低音が響きわたり、悲しげな旋律はまるで地球の叫びのようにも感じられる演奏。会場全体がMicheal Nymanのピアノの音に引き込まれ、ひとつになった。言わずとしれた名曲4曲を披露したあと、Micheal Nymanは客席に向かい深いおじぎをして最後の曲を弾き上げた。東寺の厳格な佇まいが、中からのぞく仏像が、そして歴史を重ねて来た京都という土地が、不思議と彼にマッチしていた。
トリを飾るのは、ファン待望復活ライブのYellow Magic Orchestra。待ちわびた観客が総立ちでコールをする中、Yellow Magic Orchestraの3人がそれぞれの位置についた。復活にふさわしい、壮大なセットだ。会場からは歓喜の声があがった。そして手拍子とともに電子音が東寺に響き渡り、リズミカルに「以心電信」がはじまる。心地よい音にコーラスが重なり、会場全体が軽くなったかのようだ。続いて「レスキュー」では楽しそうにリズムを刻む人々の姿が多く見られた。その後の「War and Peace」は、絶妙なバランスで成り立った美しい音がステージから全体に広がっていき、地球の歴史や人間の歴史について考えさせられる。Yellow Magic Orchestraのライブは歴史ある音と新しい音が共存し、今まで見たこともないような情景を見せてくれるものだった。思わず涙ぐむ人の姿も見られた。最後は「RYDEEN」で爽やかに締め、3人はステージを後にした。その後も会場では大きな拍手が続いた。まさに歴史的な場所で歴史的なライブが行われた瞬間だった。
人々は余韻に浸るように、五重塔を眺めていた。ライブが始まる前と後では、環境問題に対する意識が変わるものになったのではないだろうか。その証拠に、CO2削減を意識して公共交通機関を使用して帰る人の姿が多く見られた。東寺にLIVE EARTHという新しい歴史が刻まれた一日となった。
取材・文/吉村沙織 撮影/反田和宏
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