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ううむ。『クレバのベスト盤』という、あまりにも人を喰ったタイトルにいきなり腰が砕ける…。しかし、この中に詰まっているドラマは、やっぱりとんでもなく大きいのだ。本作は、2004年6月18日に、ソロ・デビューを飾った「希望の炎」から、昨年10月3日にリリースされた「ストロングスタイル」までの、全シングルを中心に構成されている。折角の機会なので、KREVAのこれまでの足跡を、ざっと振り返ってみるとしよう。

KREVAのソロ活動のスタート・ダッシュは、とにかく速かった。2004年6月19、20日に行われた、日比谷野音2DAYSライブを節目に、KICK THE CAN CREWが休止期間に入るや否や、「希望の炎」を引っ提げて、ピチピチの新人ラッパーとしてのキャンペーンを開始! 夏フェスでは、音源リリース前の「音色」「ひとりじゃないのよ」「ファンキーグラマラス」を、早くも披露していた。ソロ活動に対する、並々ならぬパッションと、ソロ・ラッパーとして勝ち上がってゆく、心意気が炸裂していたことが、今になっても生々しく思い出される。そして、当時のギラギラ感は、11月3日にリリースされた『新人クレバ』にも、まさしく漲ることとなったのだ。今回のベスト盤で言えば、12〜15曲目がこの頃だが、どの曲からも“俺はやってやるんだ!”という、鋭い眼光が飛び出してくる。一見、叙情的に思える「ひとりじゃないのよ」ですら、絶大な自信と、ドス黒い不安の狭間で激しく揺れながら、何とかツキ抜けて進もうとしている、KREVAの姿を感じずには聴けない。

ソロ活動2年目は、本作の7〜11曲目。KREVAは、2ndアルバム『愛・自分博』で、オリコン・チャート1位に輝き、日本武道館での公演も大成功。ソロ・ラッパーとして、史上初の快挙を、次々と打ち立ててゆく。この頃の彼は、自身のレーベル“くレーベル”を立ち上げ、CUEZERO、SONOMI、BLAST RAMPAGEなど、ファミリーとの交流を一層活性化させていった。また、モーツァルトの「アイネクライネナハトムジーク」でラップして話題を呼んだ「国民的行事」は、EVISBEATSプロデュース。外部から提供されたトラックでラップするのは、ソロが始動してから、初めての出来事だった。本人としては、意識的に“外向的になろう!”と考えていたわけでもないらしいが、信頼出来る仲間との関係性が深まっていたのが、2005年辺りだ。

そして、ソロ3年目から今日に至るまでのKREVAが、さらにパワーアップしていったことは、みなさんもよくご存知だろう。この時期の楽曲は、本作の1〜6曲目だが、印象として一番強いのは、ラップの凄まじいばかりの濃度だ。「THE SHOW」や「ストロングスタイル」のような、あからさまにバリバリな曲は勿論のこと、「アグレッシ部」も実は、最強のラップ・チューンだったりするのだ。「アグレッシ部」には、ストリングスが盛り込まれているが、流麗な調べはあくまで脇役。ラップが際立つための、スパイスにしか過ぎない。ストリングスとは一般的には、オーケストレーションの全体像を彩る“上モノ”だが、この曲では、ビートに奉仕することを徹底的に命じられている。キャッチーな仕上がりである分、KREVAのラッパーとしてのストイックな姿勢が、ハッキリ映し出されているのが「アグレッシ部」。改めて、そんな観点でこの曲を聴いて頂ければ、面白い発見がいろいろとあると思う。

さて。このようにKREVAの軌跡を一気に辿れる本作だが、回顧だけでは決して終わらない。最後を飾る「あかさたなはまやらわをん」は、今回のために書き下ろされた新曲だ。KREVA曰く、

「これは“小さい子供やラップを聴かない上の世代の人達も簡単に覚えられそうなラップ”っていうのを作りたくて出来た曲です。40代くらいの人達が僕の歌をカラオケでラップするのを立て続けに見る機会があったんですけど、それがまあかなりダメで(笑)。だからそういう大人達が持ってるラップの感じ“〜、〜、〜で”“〜、〜、〜だ”みたいな感じに合わせて作ってみました」

KREVAが挙げてくれた“〜、〜、〜で”“〜、〜、〜だ”みたいなノリは、単調でダサイとされるラップの仕方だが、このアプローチを敢えて導入しつつ、カッコいいラップに仕立て上げている。そこが「あかさたなはまやらわをん」の魅力だ。近所のスーパーの2階にある、衣料品売り場で買ったダサダサな服で、メチャクチャ粋な着こなしをしてみせるようなクールさが、この曲にはある。そして、リリックに籠められたメッセージもキラリと光る! ここで描かれているのは、端的に言うならば“コミュニケーションの大切さ”だ。

「アイコンタクトの以心伝心で分かり合えるようなことって、まずあり得ない。それよりもちゃんと話してこそ分かり合える。そういうことを最近すごく思ってまして。普段自分がやらないラップの仕方で書いたから結構時間がかかったんですけど、いいものが出来たと思います。子供は最初の内はサビの半分くらいしか歌えないかもしれないけど、その内ラップもやりだすようになっていったら、“何だ? うちのマサコはいいことを言っているな”ってことになるかも(笑)」

ところで…ソロ・デビュー曲「希望の炎」と最新曲「あかさたなはまやらわをん」が隣り合ったのも、このベスト盤の重要なポイントだと思う。昔から桁外れに凄かったKREVAだが、4年くらいの間で劇的に、スキルを磨き上げたことが、この曲順のコントラストによって、露わになっているのだ。我々リスナーに対して、弱音なんて絶対に吐かないし、いつでもムカつくくらいに、自信に溢れているKREVAだが、厳しい鍛錬と探求を常に自身に課してきたはず。その何よりもの証明が、15曲目と16曲目の間に渦巻いている気がする。そして、彼はこれからも自分を鼓舞しながら進化してゆくのだろう。

変な言い方だが…KREVAは未だに成長期なのだと思う。食べ盛り、伸び盛り、生意気盛りで突き進んだ先には、どんなラップが待っているのか? 期待はまだまだ果てしない。(テキスト/田中大)

【初回限定盤特典】
・You Tube CM優秀作品
・You Tube ハートバトンビデオ
・全アイテム TV SPOT
・昨年の日本武道館ライブ映像から1曲
・セルフライナーインタビュー

◆ 「イッサイガッサイ」(KREVA TOOR 2006 愛・自分博〜国民的行事〜)の映像はこちら!

CD+DVD

「クレバのベスト盤」
ポニーキャニオン
2008年3月19日発売
アルバム
PCCA-04908
3,360円(税込)/CD+DVD

CD

 

試聴 01. ストロングスタイル    
試聴 02. ビコーズ    
試聴 03. くればいいのに feat. 草野マサムネ from SPITZ    
試聴 04. アグレッシ部    
試聴 05. THE SHOW    
試聴 06. Have a nice day!    
  07. H.A.P.P.Y    
試聴 08. It's for you    
試聴 09. 国民的行事    
試聴 10. スタート    
試聴 11. イッサイガッサイ    
  12. ファンキーグラマラス feat. Mummy-D from Rhymester/マボロシ    
  13. ひとりじゃないのよfeat.SONOMI    
  14. 音色    
  15. 希望の炎    
試聴 16. あかさたなはまやらわをん (Bonus Track)    
 

DVD

 

  ・You Tube CM優秀作品    
  ・You Tube ハートバトンビデオ    
  ・全アイテム TV SPOT    
  ・昨年の日本武道館ライブ映像から1曲    
  ・セルフライナーインタビュー    

CD

「クレバのベスト盤」
ポニーキャニオン
2008年3月19日発売
アルバム
PCCA-04909
3,150円(税込)/CD

CD

 

試聴 01. ストロングスタイル    
試聴 02. ビコーズ    
試聴 03. くればいいのに feat. 草野マサムネ from SPITZ    
試聴 04. アグレッシ部    
試聴 05. THE SHOW    
試聴 06. Have a nice day!    
  07. H.A.P.P.Y    
試聴 08. It's for you    
試聴 09. 国民的行事    
試聴 10. スタート    
試聴 11. イッサイガッサイ    
  12. ファンキーグラマラス feat. Mummy-D from Rhymester/マボロシ    
  13. ひとりじゃないのよfeat.SONOMI    
  14. 音色    
  15. 希望の炎    
試聴 16. あかさたなはまやらわをん (Bonus Track)