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中野オリエントスパゲティで聴くジャズ
selected by サトウヨシヤ

サトウヨシヤ
サトウヨシヤ(NON-POLY)「映像が見えるような言葉と音」を常に考えてきたミュージシャン。ひとつの曲が一編の映画のように感じてもらえるような音楽を追求し続けながら、アーサーシートン(有)の代表をも努め る。最新アルバムはとうとう、 ひとりで演奏からミックスまでやってしまったソロアルバム「目を閉じることを忘れてしまった」そして今年から念願の映像制作活動も始める。

アーサーシートン http://www.arthur-seaton.com

どんな仕事でもそうだが、飲食店で働くと言う事は結構しんどいものだ。仕込みはもちろん、うちみたいな超オープンキッチンならなおさらお客様に気を使うし、調理中の失敗は許されない。そんな場所で唯一ココロを和ませてくれるのがやはり音楽。良質なBGMはさらっと聴き流せるようで実は奥が深い。そんな10枚(人)を選んでみました。かなり王道なセレクションになっているので、これからジャズを聴きたい方の参考になれば幸いです。

1. Walter Wanderley「Garota De Ipanema」
人はなかなかゴージャスな気分に浸る瞬間に巡り合わないものだが、ワルター・ワンダレイのボッサオルガンを聴けば、瞬時にゴージャス気分を手に入れることが出来る。この素晴らしい音色のオルガンはやはり生演奏で<吹きっさらしのビーチカクテルバー>辺りで聴きたいが、それは難しいのでCDに頼るしかないお手軽な自分が悲しい。
2. チェット・ベイカー「That Old Feeling」
このペット吹きのナイスガイがもてないはずはない。ペットもさることながら男前のマスクで甘い唄声を軽いタッチで発する。僕も唄を歌うのでわかるが、この抜けた感じと言うか、力が入らない感じと言うか、気負ってない感じの唄い方って結構出来ない。タイムマシーンにお願い出来るなら是非ライブで聴いてみたかった。もうひとつお願いできるならチェットさんのシャウトも聴いてみたい。一回くらい酔っ払ってやったことあるでしょ?
3. セロニアス・モンク「Ruby My Dear(Alternate Take)」
引っ越して間もない平日の昼過ぎに起きたら、すこぶる気分が良い。それでは散歩でもするかと未開の住宅地を練り歩いていたら、こんなピアノがどこからか聴こえてきた。そう、それは力強くも軽やかでシンプルなピアノの音色だった。なんて話が全くありえない、我がジャパン。
4. ビル・エバンス「Laurie」
やられた夜に何度この人に助けられたことか。音の隙間に入り込み僕はそこにただ寝そべる。まるで詩人の呟きのような音の玉が天井に浮かんでは消える。生まれ変わったらこんなピアノが弾きたい。さもなければピアノ以外でも、、、。
5. ジミー・スミス「Lover Man」
子供の頃ジャズは<お洒落でかっこいい大人の音楽>だと思っていた。しかしその思いがどこからきたのか不明である。その後音楽をやるようになってもジャズには見向きもしなかった。なぜならまだ大人ではないし、ジャズみたいなイカした音楽が自分に出来るはずがない、と思っていたからだ。今思えばそんな子供時代に「ジャズと言えばこんな音楽」と勝手に漠然と想像で思っていたのが、ジミースミスのようなオルガンジャズだった。
6. ブロッサム・ディアリー「Charade」
トーキングジャズと言うジャンルがあるのかないのか知らないが、彼女の喋るような歌はメロディが子踊りしている。しかもその歌声は素晴らしくチャーミングだ。「歌がはみ出てあるべき場所に着地しなくてもいいじゃない、グルーブさえあれば!」と彼女は鍵盤をはたきながら言った。(想像)
7. エラ・フィッツジェラルド「If I Gave My Heart To You」
あの、、、スピーカーびびってんですけど、ウーハーが、、、。と思いきやジェットコースターの如く天へと駆け上がる歌声。唄のうまさ、佇まい、エモーショナルの出し引き、顔。まさに僕の思うキング オブ ジャズボーカリスト。
8. エタ・ジェイムス「W-O-M-A-N」
エタのはじけ具合が好きだ。ロック的な匂いすら感じる。この女とケンカしたら絶対負ける。
9. ジョン・コルトレーン「One And Four」
音楽を作るうえで余裕があるって事はとても重要。余裕がないとキイキイさ加減が音に出てしまう。弾けないフレーズを無理に演奏するより、身の程のフレーズを感情を込めて演奏する方が他人には伝わるものだ。感情を最大限に優先したエモーショナルだらけの音楽もたまには聴きたいが(泥酔時など)平常時には少し疲れてしまう。コルトレーンの音には余裕がある。笑いながら、或いは背中を掻きながら吹いてる感すらある。さすが巨匠。
10. スタン・ゲッツ「Parker」
サンフランシスコのダイニングバーでジャズを聴いた。本日2回目のセットだったらしくメンバーの半分はベロベロだ。僕の信条(心情)としては酒だかクスリだかでベロベロでも演奏さえ良ければどうでもいいのだが、演奏もベロベロ。アタマがベロベロでも演奏はクールに決めて欲しい。ゲッツみたいに。