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音楽カオス オモチャ箱
selected by 横田マコト

横田マコト
amor fati(アモールファティ)でインディーズデビュー。ブラジリアンテイストのポップスで「TOKYO BOSSA NOVA」シリーズをはじめ、数々のコンピCDに参加。2005年に、1st album「裸足のインディオ」を発表し、現在、2nd albumの製作中。6/28、コンピCD「Easy Living vol.1」が、philia records から発売 !

俗に言う「おもちゃ箱をひっくり返したような...」、意外性のある、混沌とした、あるいは、幻想的な…、そんな多種多様な要素を合わせ持った音楽を集めてみた。または、ここ集められた10曲が散らばる風景そのものが、「おもちゃ箱をひっくり返したような...」ものだと思ってもらっていいと思う。時に、規則性のない混沌の中には、普段気づくことの出来なかった可能性や新鮮味を発見することが出来るものだ。

1. ザ・ビーチ・ボーイズ 「Wouldn't It Be Nice」
一家に一枚の名盤「Pet Sounds」から。「世界は素敵じゃないか」と歌う、アルバムのオープニングを極彩色に飾るこの曲は、イントロと同時に聴く者を別の世界へ連れて行ってくれる。マイケル・ムーアの「ロジャー・アンド・ミー」で、この曲が、悲劇を際だたせるような、逆説的演出で使われる場面があるが、それもこの曲の持つ現実離れした美しさが為せる技だろうか。
2. 坂本龍一 「Steppin' Into Asia」
最近はどうなのかわからないが、当時、アジアという言葉には、プリミティブであって、どこかあいまいな世界といったイメージがあったと思う。音楽の世界でも、アジアをテーマにした曲がたくさん生まれだした。この地上にあるようでないような世界のイメージが、一種の楽園を想像させたからかもしれない。
3. 荒井由実 「中央フリーウェイ」
「中央フリーウェイ、右に見える競馬場…♪」、気晴らしに東京競馬場へ訪れる度に、このフレーズが自然と頭の中に流れてくる。コード展開や、メロディーから、やはりボサノバを意識して作ったのだろうと思うのだが、荒井由美の曲としての個性の前では、そんな能書きは必要ないだろう。本当の名曲とは、何々の影響を受けてとか、何々系の音楽などといった余計な説明を必要としない。
4. 松本伊代 「センチメンタル・ジャーニー」
イントロからエンディングまで、全く無駄を感じない筒美サウンド。この曲がヒットしていた当時、特別興味はなかったものだが、「読み捨てら〜れる〜♪」と口ずさんで見ると、その流れるようなメロディーに、エンディングまで自然と導かれてしまうのだ。サビに無理矢理ヒラ歌をくっつけたような曲を作って満足している人達に、是非聴いてもらいたい名曲。
5. ドアーズ 「Wintertime Love」
ドアーズには、人間の持つ暗部をえぐり出したような痛々しい闇のイメージを持つ曲が多い。この恋を題材に歌った、一見美しいワルツも、やはり全体を被うのは、不安や恐れといった闇だ。美しさと闇が互いを引き立たせあっているように感じる。
6. ドナルド・フェイゲン 「I.G.Y.」
ドナルト・フェイゲンも、混沌を表現するのに長けているアーティストだと思う。しかし、大半のアーティストが、秩序から混沌を生み出しているのに対して、彼の場合、混沌から秩序を生み出しているように、ボクは感じてしまう。特にこの曲を聴いているとそんな気がするのだが・・・。
7. かまやつひろし 「ゴロワーズを吸ったことあるかい」
想像をかき立てるような言葉が、次々と浮かんでは消えながら、聴く者の脳を刺激する。詞というものは、本来言葉の持つ香りや、言葉が持つ淡いイメージを紡いでゆくことで、理屈では表す事の出来ない感覚を伝えるものだということを教えてくれる曲だ。
8. リトル・フィート 「Juliette」
リトル・フィートと言えば、「Dixie Chicken」のような、ニューオリンズ・ファンクの要素を持った独特のリズムが売りだが、もう一方で、この曲の持つ、グループ結成当時からの売りである、ローウェル・ジョージの感傷的なメロディーも忘れることが出来ない。エレピとフルートのコンビネーションによるイントロが秀逸。
9. デヴィッド・ボウイ 「Space Oddity」
昔のSF劇というものは、ホラーやファンタジーと変わらない、単なる荒唐無稽の世界を描いたものだった。古き良き時代のSFの世界を、パロディ気味に歌にしたような、この名曲は、そのチープさや、イメージの曖昧さ故に、人のイマジネーションを刺激する、オモチャ箱的な匂いを多分に含んでいるようだ。
10. 越路吹雪 「誰もいない海」
越路吹雪の歌には、現在の音楽で持てはやされているオシャレだの何だのといった価値観などを飛び越えた、際だった存在感がある。「歌姫」という言葉が、お手軽な宣伝文句となった今、彼女の歌をもう一度みんなに思い出してもらいたい。最初は、その存在感に圧倒されてしまうだけだが、自然と心を開いて耳を傾ければ、「歌姫」の本当の意味を理解することが出来るはずだ。