音楽ニュース
2008年9月8日

エレカシ、ZAZENら出演、濃厚な東京事変主催イベント

東京事変

SCOOBIE DO

エレファントカシマシ

SOIL&"PIMP"SESSIONS

ZAZEN BOYS カメラマン:三吉ツカサ(Tsukasa Miyoshi)

◆ 東京事変主催ライブ・イベント“SOCIETY OF THE CITIZENS vol.2” 8月23日(土)、24日(日)@JCB HALL

【8月23日(土):東京事変/エレファントカシマシ/SCOOBIE DO】
2006年7月2日、東京は日比谷野外音楽堂にて行われた東京事変主催のライブ・イベント『SOCIETY OF THE CITIZENS Vol.1』。 2年ぶりとなる第2回公演が、2日間に規模を拡大し、新会場となるJCBホールで行われた。その初日は、今回、初参加となるSCOOBIE DOとエレファントカシマシ、そして東京事変という、濃厚にして刺激的なラインナップ。

その1番手を務めたのは、4人組のオルタナティヴ・ファンク・バンド、SCOOBIE DOだ。縦ノリ、横ノリと、グルーヴが自在に変化する鋭角的なファンク・サウンドオーディエンスを熱狂させる。新作アルバム『パラサイティック・ガール』中心のセットは、翌日登場のSOIL&"PIMP"SESSIONSから、トランペットのタブ・ソンビとサックスの元晴が参加した終盤の「What's Goin' On」から「Funk-a-lismo!」の流れで絶頂へ。そして、興奮冷めやらぬステージ転換時に、椎名林檎とZAZEN BOYSの向井秀徳が登場。ZAZEN BOYS「KIMOCHI」のアコースティック・バージョンをさらりと披露するところが、このイベントらしくもあり、実に贅沢でもある。

2番手はエレファントカシマシ。元東京事変のギタリスト、ヒラマミキオ、注目の若手プロデューサーにして、キーボーディストの蔦谷好位置をサポートに従えた、今年結成27年目となるボーカル宮本浩次以下、不動の4人が登場。新作アルバム『STARTING OVER』を中心に、初期の名曲「珍奇男」と「ゴクロウサン」、ヒット曲の「悲しみの果て」と「風に吹かれて」、そして新曲「新しい季節へキミと」というフル・コースは、圧倒的な説得力で、オーディンエンスのもとへと運ばれた。さらに第2の幕間では、SCOOBIE DOから、ギターのマツキタイジロウとベースのナガイケジョー、SOIL&"PIMP"SESSIONSのタブ・ソンビと元晴からなる即席ユニットが、ワン&オンリーのセッションを披露。

そして、3番手はイベント・ホストの東京事変だ。先に行われた、RISING SUN ROCK FESTIVALで、9ヶ月ぶりのライブを行った彼らは、幻想的なピアノに導かれ、椎名林檎が登場すると、「某都民」でライブをスタート。きらめくようなポップ感を、随所に散りばめながら、コンパクトな楽曲に、演奏の妙を凝縮してみせる彼らは、メンバー紹介がてら、音を回してゆく2ndアルバム『大人(ADULT)』収録の「歌舞伎」と最新シングル「閃光少女」を除き、全曲が3rdアルバム『娯楽(バラエティ)』からという、潔く気持ちよいセットを展開。「私は楽しくやってます。皆さん、お元気ですか」という、椎名林檎の簡潔なMCと、熱狂的な反応にかき混ぜられたオールスタンディングのフロア。音楽を介したヘルシーな関係が、そこにはあった。アンコールは「丸ノ内サディスティック」。熱をこめた演奏で初日を締めくくった彼らは、更なる新しい音楽との出会いを用意するべく、イベントの2日目へと向かっていった。(小野田雄)

【8月24日(日):東京事変/ZAZEN BOYS/SOIL&"PIMP"SESSIONS】
2日目まずは、グラストンベリーフェスティバルなど、海外のフェスでも熱狂的に受け入れられた、“世界の” SOIL&"PIMP"SESSIONSが、アグレッシヴでワイルドなパフォーマンスを展開した。テーマ→ソロまわし→テーマという、ジャズのオーソドックスなマナーを踏襲しつつも、6人の意欲的なミュージシャンが生み出す音色はパンキッシュで、ずしりとした重みがあり、荒々しく挑発的で、ミステリアスな色気があった。「カリソメ乙女」では、椎名林檎がSOILのTシャツ姿で登場し、配信シングルで共演した<DEATH JAZZ Ver.>を披露。マッシヴで破壊的なソロ回しも刺激に満ちあふれていて、最後の一音まで気が抜けないほどスリリングだった。
 
そして、ステージの転換中に現れたのは、椎名林檎、前日に登場したSCOOBIE DOのボーカル・コヤマ、ライブを終えたばかりのSOILから、キーボードの丈青といった面々。3人でエレファントカシマシの「悲しみの果て」を演奏したが、椎名が「俺」という人称で歌うのが新鮮だった。

続く、ZAZEN BOYSは、熱気でむんむんになった夜の空気を、鋭いナイフで切り裂くようなパフォーマンスをみせた。言葉で表すと、鋭利なギターリフと、予測不能の動きをみせるベース、ストロングなマッスルビートを叩きだすドラムに、シンセを導入したエレクトリックファンク(四つ打ちもあります)…ということになるのだが、そこには、息をつかせぬギリギリの攻防と、常にはじまりと終わりを感じさせる、言葉にはできない美しくて激しいトーンがあった。動いていないのに汗がしたたり落ちてくるような、あの独特の緊張感をなんと言えばいいのだろう。抜き差しならない人間的な感情が湧き出てきた瞬間に、すぐさまクールなハンマーで叩きつける。それでいて、自己矛盾や混乱が再び生まれ出るのを待っているような音の集合。時には、チャルメラのフレーズが飛び出す茶目っ気もあり、演奏は熱くエモーショナルで、身を削るような痛さや混沌もある、とても音楽的な密度の高いステージだった。

エレギとシンセの2本弾きで幕を閉じたZAZENに続き、再びSCOOBIE DOが、アコースティックセットで登場。前日も歌った「Privete Lover」と、向井秀徳とMASTURI STUDIOで作ったという80Sビートのダンスチューン「ROPPONGI」を披露した。各ミュージシャンのつながりを感じさせる、サブコーナーを楽しみにしている人も多いはず。

最後に、イベントの主催者である東京事変のステージ。2日目のラインナップは前回と同様だったが、そもそも、このイベントのコンセプトは「ロックフェスに行っても、遠かったり、ステージがたくさんあって、見れないバンドがいるじゃないですか。だから、私のわがままで、ひとつのステージで好きなバンドを見たかったんです」(椎名林檎)というのが目的である。そういう意味では、彼女が同じステージに立ちたいと思うバンドとして、真っ先に思い浮かぶのが、今も昔も変わらずに、SOIL&"PIMP"SESSIONSとZAZEN BOYSの2組なのだろう。また、事変のセットリストは前日と同じだったが、彼らとしても、前回はドラムの刄田綴色が骨折のために欠席していたことに加え、楽曲の構成もソロ楽曲の「茎」や、ともさかりえに提供した「少女ロボット」を演奏していただけに、改めて、5人の音だけで作り上げた3rdアルバム『娯楽(バラエティ)』を経て完成した、東京事変にしか鳴らせないバンドサウンドを聴かせたいという気持ちがあったのかもしれない。

この日の演奏は、リラックスしながらも一音一音に集中している様が伝わってきて、文句なしに素晴らしい演奏だった。1曲目の「某都民」から観客は右に左に手を振り、合いの手や合唱で積極的に参加。通常のツアーよりもステージが近いこともあって、「ミラーボール」で満面の笑顔を見せた椎名も積極的に観客との距離を縮め、「OSCA」「キラーチューン」では会場全体が弾み、「閃光少女」では、自分がもう1回17歳に戻ってしまったかのような、音楽への激しい希求と喜びを感じさせてくれた。ソロ時代からアンコールで歌うことが多かった「丸の内サディスティック」を歌ったのは、集まってくれたお客さんへのサービスだろう。

最後に、椎名が「できるかぎりやり続けたいと思います!」と宣言していたが、そのステージングや構成からもこのイベントに参加するミュージシャンとお客さん、その両方が楽しめるものにしようという意気込みが伝わってきただけに、今という瞬間を楽しく煌めかせてくれるイベントを出来るだけ長く続けてもらいたいと思う。(永堀アツオ)

◆ 東京事変、アルバム『娯楽』のインタビュー
◆ SOIL&“PIMP”SESSIONS、アルバム『PLANET PIMP』のインタビュー
◆ エレファントカシマシ、アルバム『STARTING OVER』のリリース情報

(OOPS! News Network)

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