椎名林檎 インタビュー

ロック幻想や“永遠の27歳”を超え、一瞬の生の燃焼とその持続によって道を切り開き、10年の音楽人生を駈け抜けてきた
ザ・ローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズ、ジミ・ヘンドリックス、ザ・ドアーズのジム・モリソン、ニルヴァーナのカート・コバーン。ロックンロールという名の宗教と27歳で亡くなったレジェンドたちの葬列。そして、子供を育て、音楽を日々生み出しつづける椎名林檎は今30歳。ロック幻想や“永遠の27歳”を超え、一瞬の生の燃焼とその持続によって道を切り開き、10年の音楽人生を駈け抜けてきた。そして、11年目の2009年。音楽的なパーソナリティの全体像や多面性を伝えるための手続きとして、順を追って積み重ねてきた作品たちとポピュラー・ミュージックにおけるロール・モデルを後に残し、彼女は遂にソロ・アーティストとして、開けた場所に辿り着いたのだと思う。
椎名林檎の6年ぶりとなるソロ・アルバム『三文ゴシップ』は、それ以前に抑制していたアイディアや秘められた思いが渦巻き、ほとばしっている作品だ。初期の作品ではアルバムの全体像を分かりやすく伝えるべく、アレンジャーの亀田誠治と共に曲のメイクの個性を一定のトーンに整えてきた彼女だが、本作にあっては、各曲の素顔に寄り添ったアレンジャーとプレイヤーを起用している。参加しているのは、東京事変の前任キーボーディストにしてPE'Zのヒイズミマサユ機、服部隆之、中山信彦、斎藤ネコ、SOIL & “PIMP” SESSIONSとその別働隊であるJ.A.M、coba、名越由貴夫、東京事変のギタリスト浮雲といった過去に共演経験のあるアレンジャーたち。そこに今年アルバム『マボロシのシ』で共演を果たしたマボロシ/RHYMESTERのMCであるMummy-Dと長らく彼女が愛聴していたという元SUPER BUTTER DOG、現レキシ/100sの池田貴史が加わったことによって、曲それぞれの輪郭が鮮明になると同時に強度が増している。

