等身大が規格外。朱に交わらない。十把の中には収まらない。長いものにも巻かれない。自分自身の手にも負えないほどの突飛さを撒き散らしているわけではないが、アウトサイダーの香りを色濃く漂わせている特異な、佇まい。“根底にある感情は、すごくシンプル。それをストレートに生々しくさらけ出す、というの私が音楽に挑む時のテーマ”と本人は語るが、その歌からはどこか歪だ焼け付くような強烈な磁力が感じられる。
シンガー・ソングライター=阿部真央。赤裸々な18歳。アオさはとうの昔に忘却済み。「思春期は恋と音楽に夢中でした。それともうひとつ、自分自身の探求にも。私、高校が嫌いだったんですよ。授業もそうですけど、とにかく同世代の子たちと話しているのがつまらなかった。自分自身を会話や身振り手振りで表現することも、気づいたらうまくできなくなっていたし。だから誰かと向き合ったり、みんなと討論することをやめて…放棄しましたね、普通にコミュニケーションをとることを。私の内面を表現する手段は、ギターを弾いて曲を作ってそこに言葉を乗せていく…それしかなかった。歌でしか、素直に自分をさらけ出すことができなかったんです。」
しかし、図らずも気が向いたら3時限目から登校、という不毛の高校生活は、音楽創作の場としては格好の土壌となっていく。
「授業中は、最高の曲作りの場でした(笑)」
退屈でたまらなかった世界史の時間に、“今を生きているこの危なっかしさを切り取った。昨日まで三つ編みにメガネだったけど、今夜それを取るぜ! というイメージ”をノートに――まるで宣戦布告するかのように――叩きつけて「ふりぃ」が生まれた。他者との交流がうまく図れない中、心の奥底に横たわっている濁りの無い思いを「人見知りの唄」で切々と綴った。そして、恋に夢中だった日々“叶わない恋をしていた…その時の私がそのまま映っている”という、あまりにも純度の高いラブ・バラード「貴方の恋人になりたいのです」に全てを託した――と。今、彼女のライブで演奏されている楽曲のほとんどは、この時期に誕生し、生まれた。
学校生活からの逃避? いや、そんな単純な発想で括れないことは、作品を耳にすれば即座に理解できる。胸を真っすぐに打ち抜くリリック、琴線をくすぐってやまないメロディからは、<阿部真央という才能>が鮮やかにほとばしっているから。ハニーヴォイスからビターなスモーキーヴォイスまで、色彩感と豊かな表現力にあふれるヴォーカリゼーションには、彼女が歌を選んだ必然が明確に現れているから。ストリートで鍛え上げられライブできわめて肉体的に鳴らされるギターは、彼女のうねり続ける魂に、プラグインされているから。
待望のデビューは、2009年1月21日。19歳を迎える、少し手前。この規格外、ここから果てしなくスケールアップし続けて止まらない――そんな予感も期待も強大。「自分としては、あまり思い上がらないようにしています。デビューしても今までのスタンスは崩さずにいきたいと思ってます。でも、いろいろな人の耳に自分の唄が届いて欲しい! というのはすごく強く思っています。――覚悟と共に希望を持って臨みます。
文:竹内美保
CD+DVD
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「ふりぃ」 |
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