一青 窈 インタビュー

ここには生身の一青 窈がいる。間にシングル・ベストの大ヒットをはさみながら、2年3ヵ月ぶりに届いた4枚目のオリジナル・アルバム『Key』。秦 基博やクレイジーケンバンドの横山剣といったアーティストとの化学反応も楽しみながら、「つないで手」に代表される、一青自身の心の震えもリアルな1枚。まっさらな、裸の心で聴いていただきたい。
取材・文/青木 優
たとえば<魔法>みたいな、今まであんまり書かなかったような歌詞を使ってみたんです。
MSN:ひさしぶりのアルバムですね。
一青 窈:今回は本当に時間をかけました。寓話のような仕上がりにしたかったので、たとえば<魔法>みたいな、今まであんまり書かなかったような歌詞を使ってみたんです。で、『パンズ・ラビリンス』っていう映画を観たんですけど、その中で女の子が、自分の部屋にチョークでドアを書くんですよ。その扉が開いて、あっちの世界に行けるという話で。
MSN:映像的なイメージがあったとか?
一青 窈:そうですね。普通に生活してて、ちょっと窓開けたら、いきなりそこに自分の背丈ぐらいのバラの花が咲いてるとか(笑)、そういうイメージですね。スペースシャトルに乗ってどこかへというより、生活の中に現れる、ちょっとしたときめき、みたいな。
MSN:アルバム・タイトルの『Key』は、何から思いついたんですか。
一青 窈:私の実家を建て直すことになって、全部壊した時に、鍵だけが残ったんです。この前、その地鎮祭に行ったんですけど、ほんとに何もない、ただの空き地になっていたんですよね。壊すと聞いてても「どうぞ」という感じだったし、自分の荷物も「トランクルームに全部持っていけばいいや」ぐらいの気持ちぐらいだったのに、実際に立ち会ってみて、愕然としました。「何がここに巻き起こってたんだろう?」って思いましたね。家族で住んで、そこで私の作品もたくさん生まれたのに、それがひとつもない! 全部夢だったのかな? って。それで鍵を見ながら、「こんな空っぽのところで、この鍵を閉めることで、何を大切に守ろうとしてたんだろう?」と。

