PR


レディオヘッド インタビュー

モダン・ロックの第一人者レディオヘッドの7作目『イン・レインボウズ』は、2007年音楽シーン最大の衝撃作だった。アルバム契約を消化し自由の身になっていた彼らは、これまでも「アルバムの代わりにシングル群をリリース」といった、より柔軟な活動案を検討していた。しかし、9月末にリリースを発表すると同時に、ダウンロード用ウェブサイトを設置、リスナー各人がダイレクトに、しかも購入価格を自ら設定できる(無料でも購入可)という、型破りなルートで『イン・レインボウズ』が世に出ることになるとは、誰も予想していなかっただろう。ネットやデジタル・ダウンロードの普及で、音楽との接し方が大きく変わった現在を反映し、音楽の価値を改めて問い直すことで、作り手と受け手の未来像を描いてみせたレディオヘッド。サウンド面でもリフレッシュを果たし、文字通り“新章”に踏み出したコリン・グリーンウッド(B)に訊いた。
取材・文/坂本麻里子

完成から3、4ヶ月後にリリース、その前に先行シングルを発表なんてお決まりの流れに乗るのは、僕達にとっても待たされるファンにとっても、ひとつも良いことがない。

MSN:レコード契約がない状況でのレコーディングは、これまでよりプレッシャーが軽かったと思いますか?

コリン:ああ。でも、その厄介な点は、区切りやけじめがないってことで(苦笑)

MSN:自由すぎて、逆に持て余すという。

コリン:そうそう。でも、あれは良かった。僕は自分達が怠惰になってきてると感じていたし、レコード会社が存在しない、イコール動機がないってことになる。そうなると、何で自分達はバンドを続けているのか、本当の意味で自問することになるからね。レコード会社と契約していると、たとえばあと1、2枚残ってるアルバム契約を消化するのが目的で作品を作る…みたいなことも起きるから。

MSN:思い切ったアルバム・リリース方式も、ルーティンから脱け出して興味深いことをやろうという思いから?

コリン:うん、素早く進めていくっていう。たとえば僕達がレコードを完成させたら…このアルバムが最終的に完成したのは8月か9月あたりだったと思うけど、そうなるとすぐに「レディオヘッドがアルバムを完成。リリースは来年1月の見込み」なんてニュースが報じられるわけ。こっちとしては「そんなの勘弁してくれ!」って感じでね。完成から3、4ヶ月後にリリース、その前に先行シングルを発表なんてお決まりの流れに乗るのは、僕達にとっても待たされるファンにとっても、ひとつも良いことがないよ。

MSN:レビューやメディアの意見を待つまでもなく、10月10日に誰もが自分で作品を入手してその良し悪しを判断できる。その意味で、ダウンロード・リリースはとても新鮮でした。

コリン:だよね。でも、やっぱりレビューはまだ重要なんだよ。というのも、コンピューターで音楽を聴いたり直接ダウンロードする人間はまだ実際は少数派だし、多くの人間が、CDの形でリリースされるまで、あるいはダウンロード・ストアで購入できるようになるまで待っているから。でも、日本ではあんまりダウンロードされなかったみたいなんだ。「これはレディオヘッドのダウンロード・サイトです」って日本語翻訳を掲載できれば良かったんだろうけど、そこまで頭が回らなかったし、実際それをやっていたらもっと手間がかかったと思うし。でも、ダウンロード・サイトそのものは、すごくシンプルに分かりやすく作ったつもりだよ。ある意味、ネット版レコード購入方式っていうのかな、バンドから直接作品を買えるっていう。