槇原敬之 インタビュー

愛犬の死を通してに、命の大切さを痛いほど実感したという槇原敬之。オリジナルアルバムとしては約1年9ヶ月ぶりとなる『悲しみなんて何の役にも立たないと思っていた。』は、そんな自身の体験をタイトルに掲げ、“悲しみ”を乗り越えていく心の変化を捉えた、ポジティブなメッセージあふれる一枚に仕上がった。その心の変化、制作過程を聞いた。
取材・文/長尾 泰
MSN:ニュー・アルバムには、槇原さんの原点回帰みたいなものを感じたんです。先行シングル「GREEN DAYS」も青春一直線ってイメージで。
槇原:今回は、素直に自分の好きなものを作っていったんです。前のアルバム『LIFE IN DOWNTOWN』は趣味性が強いというか、シンセサイザーを多用したものを作っておこう、という作品。ただデビュー前から数えて20年以上曲作ってると自分でも、“槇原敬之のメロディってこんなんやん”というのが分かってきて(笑)。なのでその反対を行ったんです。そうすると面白いもので、ゴムを強く引っ張った時みたいに前に戻ろうとするんですよ。「GREEN DAYS」はその象徴みたいな形。今回はアルバム全体を通して、メロディーも自分の心の行きたい方に行ったし、すごく伸び伸びと曲作りできたんです。そういう意味の原点回帰はあるかもしれません。
MSN:槇原さんはつね日頃、YMO好きという話をされてますが、彼らも含めた'80'sのエッセンスが随所に感じられました。
槇原:ユーミンや小田和正さんとか何でも聴いてました。もちろん、彼らがリスペクトしていたアーティストも。音楽ってそういう流れがあるから楽しいですよね。当時は恋愛みたいに音楽と接してましたし。毎日のように新しい音楽と出会って夢中になって、朝から晩まで音楽をやり続けてという時期。いまは仕事にしてることもあって、音楽を仕事目線で見ちゃう。若いコを見てると“このコたち、まだそういうことがあるんや〜”とワクワクする反面、自分は少なくなったなぁ、という変な寂しさも(笑)。
MSN:やっぱり青春時代に聴いた音楽って、ずっと持ち続けますからね。先ほどもおっしゃってましたが、今回はそれが素直に出た、と。
槇原:ファッションの世界で“新作コレクションのテーマは'80's”っていう感じです。そのまま持ってくるんじゃなくて、21世紀からの視線で'80'sをリファインしたというか。まぁ、そういうと計算し尽くしてるみたいですけど、恥ずかしいぐらいしてなくて(笑)。

