東京事変 インタビュー

◆ 東京事変 3rdアルバム『娯楽(バラエティ)』 メンバーによる全曲解説 【後半】
08. 某都民
浮雲:これは問題作ですね。ボーカルは最初、僕がやって、次が伊澤くん。サビは2人の掛け合いですね。
椎名林檎:仮タイトルは“トリプル・ボーカル”
浮雲:3人でボーカルをとることを前提に作りました。東京事変にはボーカリストが3人いるので、1曲の中でボーカリストが変わっていくのは面白いんじゃないかなって。
伊澤一葉:僕は“いやらしく歌え”って言われたんで、そう歌ったんですけど、これ、恥ずかしくないですか?
椎名林檎:でも、自分のバンドでもそういう歌い方する時あるじゃない? それを受けて、この曲を書いたんだから、おかしくはないでしょ。歌詞に関しては、かつて『発育ステータス』をやっていた時、こういう遊び心のある歌詞を書いていたような気がしますね。ただ、3人が歌っているだけに、歌詞をどう持っていくか、すごく難しくて、時間がかかりました。
09. SSAW
椎名林檎:タイトルは“スプリング・サマー・オータム・ウィンター”の略ですが、春夏秋冬とは付けたくなかったんです。
伊澤一葉:この曲はアルバムのレコーディングリハが既に始まっていた中で、ポロッとできちゃった曲です。平和っぽいからやりたくなって、リハに持っていきました。あと、デュエットの形になっているんですけど、元々はデュエットの曲ではなく、林檎ちゃんに曲を紹介するために、僕が歌ってたら林檎ちゃんが“これ、デュエットがよくない?”って言い出して、一悶着あったという。
椎名林檎:なにチクってんの(笑)。でも、デュエットの方が気持ちいいし、結果的に良かったでしょ? 歌詞に関しては、男女が向き合って歌うような内容ではなく、老若男女がいるっていう情景がいいと思ったし、その老若男女が毎年楽しみにしている、何かがある風景を書きたくて。
10. 月極姫
浮雲:これはパッと出来た曲で、東京事変のために作ったものではなかったんですけど、歌詞は林檎さんに書いてもらいたいなって思ったんです。何故そう思ったか? 自分でも女の子っぽい曲だと思うし、曲に呼ばれたんじゃないですかね。
椎名林檎:これはそうだね。珍しく女の子っぽいよね。
浮雲:暗いわけでもなく、明るいわけでもなく、でも、無味無臭なわけでもなく、喉ごしがいいような。コーラス・パートに関しては、作っている時、頭の中でハモりが鳴っていたので、そうアレンジしてみました。
椎名林檎:この曲はオケを録ってすぐに書いたんですけど、曲が女の子っぽかったので、性別に関係ない歌詞が多い今回のアルバムにあっては、珍しく女の子らしい内容にしようと思って書きました。
11. 酒と下戸
伊澤:この曲は感性に任せて、そのまま作った曲で、4、5分でするっと出てきたものですね。
椎名林檎:構成のされかたが美しく、非常にバロック的ですよね。この曲は、伊澤の歌詞があって、彼が歌っていたものなんですけど、男の子目線の内容だったので、私が新しい歌詞を付けさせてもらいました。詞の世界は伊澤世界を引き継いでいるつもりです。
12. キラーチューン
伊澤一葉:この曲も、東京事変用に林檎ちゃんが歌えば、映えるだろうなと思って書いた曲です。メンバー全員、が自分のものにして演奏しているし、なにより歌の支配感がすごいですよね。
椎名林檎:伊澤がこんな曲を書くなんて思わなかったので、嬉しくなって歌詞を書きました。
伊澤 一葉:メンバー全員で楽しくアレンジしたのもあって、今の東京事変の明るい部分が出ているかもしれないですね。
椎名林檎:バンドを組んで、楽器屋併設のスタジオで初めてコピー曲を演奏した、みたいな、ピュアな喜びが詰まっていますよね。
伊澤一葉:でも、これはギターが難しいから、コピーは大変そうですけどね。
13. メトロ
浮雲:みんな、余計なことをしてないですよね。曲自体もするっと出来た曲で、間奏を付け足した以外、全くこねくり回していないし。僕、エロくて、屈折した歌詞ばかり書いてると思われがちですけど、こういうストレートな歌詞も書くことがあるんですよ、なんて。
椎名林檎:12曲目まで抑制されていたのが、解放された情景っていう曲ですよね。力が抜けていて、フラットだし、何回歌入れしても気持良くて疲れることがなかったですから。

