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東京事変 インタビュー

◆ 東京事変 3rdアルバム『娯楽(バラエティ)』 メンバーによる全曲解説 【前半】

01. ランプ

椎名林檎:この曲は、1曲目にしようと思って歌詞を書いたわけではないんです。結果的に、ここから先に進んでいくバンドのことが、1曲目から歌われることになっていて、恥ずかしいんですけど、素直に書きました。

浮雲:歌詞がポジティブでいいですよね。自分だったら、こういう歌詞は乗っけられないし、それが綺麗に成立していますからね。

椎名林檎:私も、自分の曲だったら、書かない歌詞ですよね。

浮雲:曲に関しては、明るいけど、童謡みたいなものではない、脳天気な曲をやってみたいなと思ったんです。楽曲的には転調しますけど、直線的なベクトルに則っているし、サビ部分で急に跳ねる感じが可愛らしいかなと。ドラムもシンプルですし、刄田綴色の腕のモーションを想像しながら聴いてください(笑)。

02. ミラーボール

椎名林檎:去年のツアーでもやった曲なんですけど、私の喉の調子が悪くて、京都以降はキーを下げたバージョンでやったんですけど、ここでは元のキーが高いバージョンです。

浮雲:エロいですか? え〜、そうですね。ま、男子ですから(笑)。この曲はとにかくアッパーな感じにしたかったので、テンポも速くなっているし、今までにない踊れる感じになっているんじゃないかと思います。

椎名林檎:でも、としちゃんのドラムが急にファンキーになったよね。

浮雲:そう、COUNTDOWN JAPANでやることになったから、ファンキーなアレンジにしてみました。歌詞はずいぶん昔に書いたんですけど、これはクレイジーな女子についての歌ですね。

椎名林檎:「OSCA」と「ミラーボール」、あと「メトロ」も男子目線の曲だから、歌うのが難しかったんです。浮雲は“女の子目線にしちゃっていいよ”って言ってくれたんですけど、人称を変えても、女の子が思わないことが書かれているから、結局、歌詞はそのままにして。そうなると、使う声色も自ずと決まってきて、こういう歌い方になっているんです。

03. 金魚の箱

伊澤一葉:この曲は、なんとなく林檎ちゃんが歌ったら可愛いんじゃないかっていう言葉を組み立てて、その上で自分でも分からなくなるくらい、色んな伏線を張りました。元々の仮タイトルは「80'S」で、それっぽい曲を意図したんですけど、リズム録りの時に林檎ちゃんがいなかったので、歌なしの状態で録音しました。としちゃんのドラムもキレがよく、浮雲くんのギターアレンジも亀田さんのタイトなベースとあいまって、バンド演奏はよく出来ていると思います。

椎名林檎:前作のアレンジに近いし、私のソロにも近い世界ですよね。歌詞は後から手を加えて、忙しい感じになったので、練習する時間もなく、締め切りも迫っていて、歌うのは大変でした。ただ、私の世界観に近い気がして、大好きな曲です。レコーディングは楽しかったです。

04. 私生活

椎名林檎:亀田さんの曲なんですけど、師匠色強い曲ですよね。

伊澤一葉:一聴した時は、4曲目にしてホッと出来る曲というか、ずっと走ってきてパーキングに辿り着いた、みたいな曲ですよね。

浮雲:シンプルに響く良品って感じ。こういうシンプルな演奏って、今、意外にない気がするんですよね。

椎名林檎:歌詞は「透明人間」の続編的な内容なんですけど、一番悩みました。というのも、みんなが書いてきた曲は引っ掛けがあったり、ひねくれてたりするんですけど、亀田師匠の曲はスパーンと真っ直ぐなので、歌詞でひねくれ返せばいいのかっていえば、そうではないし、何パターンも書いて、歌入れも最後まで待って頂きました。この曲では女性としての視点というよりも、どちらでもない感覚で書けたらいいなと思って、それが今回のアルバムにおける私の歌詞のテーマだったりするんですけど、ここでは“社会に出ている自分が振り返る私生活”っていうことを考えて書きました。

05. OSCA

浮雲:「私生活」から、また、分裂的な歌詞世界へ。まぁ、忙しい世界観ですけど、しょうがないというか(笑)、まぁ、いなせな感じでいいんじゃないですか。皆さん、アルバムの中に入るとどうですかね?

椎名林檎:亀田さんの曲の後に来ると、私はかえって安心するかな。

06. 黒猫道

伊澤一葉:去年の夏くらいに作った曲で、自分のバンドで歌おうかなと思ったんですけど、なんか、しっくりこなくて、お蔵入りになっていたんです。でも、林檎ちゃんが歌ったらいいのでは? と思って東京事変に提供しました。最近、放っておくと、自分の心拍数に近いミドルテンポの曲を書いているので、意図的に速い曲を作ろうと思って書いたんですけど、曲を作るというより、プレイで曲を引っ張っていくイメージですね。

浮雲:これは伊澤くんっぽいですよね。

椎名林檎:うん、あっぱ(伊澤のバンド)みたい。この曲はすごく楽しいし、自分の子供が聴いて口ずさんでくれたらいいなと思ったんですけど、伊澤が付けた歌詞は、非常にシリアスな内容だったから、歌詞に関しては、一人称がちっちゃくて、健気な感じが合うと思って、私が書いたんです。

07. 復讐

浮雲:この曲に関しては何も考えてないです。でも、日本人がやらないロックって感じですよね。冒頭のエフェクトがかった絡みつくようなギターは、伊澤くんが演奏しているんですけど、彼はいいギターを弾くんです。

椎名林檎:ホントだよね。

浮雲:林檎さんの歌も格好いいですよね。

椎名林檎:歌詞に関しては、みんなに“どんな歌詞がいいか、アイディアがあったら言ってね”って言ったら、“お母さんみたいな感じ”って言うわけですよ(笑)。だから、すごい困ったんですけど、“お母さん”っていうイメージは自分で体感できることだから、自分の中の“お母さん”像をイメージしながら書きました。

浮雲:そういえば、この曲に関して、僕にも歌詞のイメージがありました。子供を寝かしつけるために夜中起きていたら、救急車の音がして、“怖い世の中だから、私、この子を守り抜かなきゃいけないわ”って思うお母さんのイメージ。その話をしたら、伊澤くんに“だったら、自分で書けばいいじゃん!”って言われました(笑)。

椎名林檎:だって、イメージが具体的すぎるんだもん(笑)。