東京事変 インタビュー

◆ 東京事変 3rdアルバム『娯楽(バラエティ)』 ライナーノーツ 【後半】
浮雲:僕らは以前と変わりませんけどね(笑)。林檎さんには申し訳ないですけど、そういう状況があるだけに、逆に僕らの無責任な感じがいいんじゃないかって思うんですよ。
しかし、翻せば、その驚きは自由の高い音楽へ至る通過儀礼のようなものでもある。一端くぐってしまいさえすれば、開け放った扉の向こうには、日常と地続きのカラフルでハートフルな作品世界が広がっている。 そんな本作は“気の赴くままにレコーディングされた様々なタイプの楽曲を、リモコン片手に居間でバラエティ番組を観るような感覚で楽しんで欲しい”という意向を反映して、『娯楽(バラエティ)』と題されているが、そのタイトル通り、本作は決して難しい作品ではない。
浮雲:前作では焦燥感を煽られるような、戦いながらレコーディングしているような感じがあったんですけど、今回はすごくゆるかった。全員納得しているような、一緒に進んでいるような、そんな雰囲気が良かったです。」
刄田綴色:僕は予習するのが大好きだし、自分で制約を作っちゃう方なんですけど、このメンバーになってから、予習が意味なくなってきてるんですよ。
伊澤一葉:前作よりも、自分の呼吸に近い音数だと思います。レコーディング期間も今回の方が短かったですしね。
本作にあっては、椎名林檎同様、クラシックの教育を受けた、端正なソングライティングが特徴と言えるキーボード伊澤一葉、カントリーからソウル/ジャズまで、驚くべき表現幅を洗練されたマナーで行き来するギターの浮雲という、2人が作曲を担当。一流プロデューサーの顔も持つベースの亀田誠治が、「私生活」を楽曲提供しつつ、プレイに徹して静かにバンドを見守れば、怪我から復帰したドラマーの刄田綴色は、以前と比べて、しなやかさを増したプレイを展開。そして、ボーカルと詞作に専念する椎名林檎は、音楽を音楽として自由に解き放ちながら、拡散的な作品をその歌声で見事にまとめあげている。
椎名林檎:今回の作品で、曲や詞を提供することはあっても、本来、ドラマやストーリーを提供する職業じゃないってことを、1回はっきりさせることが出来たら、今後がやりやすくなるんじゃないですかね。
役者は揃い、そして、機は熟した。2007年、晩夏の東京から日本の音楽シーンを揺るがす事変がいよいよ始まる…。
テキスト/小野田雄

