レイ・マンザレク(ドアーズ) インタビュー

ロック史に数多の伝説を残し、今なお絶大なる影響力をもつバンド、ドアーズが、「ブレーク・オン・スルー」での衝撃的なデビューから今年で40周年を迎える。それを記念してリリースされるのが、『ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・ザ・ドアーズ』だ。が、単なる記念ベストと侮ることなかれ。これ、亡きジム・モリソンを除いた3人のメンバーとオリジナル・プロデューサーであるブルース・ボトニックが、オリジナルのマスター・テープやそのもとになったテイクにまで遡り、そこからの音を拾った上でリミックス及びデジタル・リマスターを施した最新サウンド盤にして、ドアーズの決定版と言えるCDなのだ。そのリリースに際して、キーボードのレイ・マンザレクが緊急来日。非常に興味深いドアーズ秘話も聞くことができた。
取材・文/内本順一 撮影/森リョータ
昔からのファンも、私たちが楽しんだのと同じように、聴いて楽しんでくれることを願ってるよ
MSN:『ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・ザ・ドアーズ』を聴いて、驚きました。サウンドの圧倒的なハイ・クオリティが味わえる上、オリジナルでは聞こえなかったキーボードやギターの音、ジムのコーラスも聴くことができる。今まで発表されていたものとは別ものですよね。
レイ:我々が出したものの中ではベストのサウンドだね。しかも、オリジナルのマルチ・トラックを使っての新しいミックスだ。まず我々はみんなでスタジオに入った。ジョン(・デンズモア)、ロビー(・クリーガー)、私、それに当時のエンジニアでありプロデューサーでもあったブルース・ボトニック。この4人以上にドアーズの音をわかっている者はいない。まあ唯一欠けていたのはジム・モリソンになるわけだが、でも、ジムのゴーストはちゃんとスタジオにいたよ。で、みんなでマルチ・トラックを聴いて、新しいミックスを作ってしまおうって話になった。その上でみんなで聴き直してみたら、トラックの中には使ってなかった音がいろいろ入っていることがわかってね。例えば「ハロー・アイ・ラヴ・ユー」のエンディングは、オリジナルで発表したものの2倍くらいの長さになっていた。延々とジムの叫びなんかが続いていって、その声とサウンドは狂ったカーボーイみたいな感じだった。だからそれに戻そうってことになってね。
MSN:そのような最初の演奏を、いつか世に出して聴かせたいという気持ちは、ずっと持ち続けていたのですか?
レイ:いや。というか、私たちも今回聴き返すまで、そういう演奏をしていたことを忘れていたんだよ。「ハロー・アイ・ラヴ・ユー」のエンディングをあんなに長くプレイしていたなんて、まったく覚えてなかった。ジムがあんなにいろんな声を出していたこともね。だから私自身、聴いて「うわっ!」って思ったよ。ではオリジナル盤でなぜカットしたのかというと…まあ、長すぎたんだろうね。当時としてはヒット・シングルを作らなきゃっていうのがあったから、そのためにはコンパクトにまとめなくちゃならない。だから早めにフェイドアウトしてたわけだ。でも今回は全部使おう! という話をして、本当に私たち自身がスタジオで楽しみながら作業をした。昔からのファンも、私たちが楽しんだのと同じように、聴いて楽しんでくれることを願ってるよ。

