椎名林檎 インタビュー

【既発曲について】
●今回は旧譜からの曲もありますが、選曲に関してはいかがですか?
椎名林檎:「例えば、1曲目の「ギャンブル」だったら、監督から“道中のシーンで流れるのは歌モノがいい”っていうことを聞いていたので、その映像を拝見して、詞にしても、曲にしても、「ギャンブル」を映像に当てたいなと思ったんですね。あと、この曲に関しては、ライブ・ バージョンが作品化されていますけど、実際にスタジオで録ったことがなかったので、録音すれば合うんじゃないかなって」
●じゃあ、選曲に関しては、映像対応で考えていったわけですね。
椎名林檎:「曲のサイズも含め、そうですね。あと、時間が限られていたので、過去ライブ用にネコさんがアレンジしてくださった曲だったら、作業を進めやすいという理由もありましたし、ちゃんとしたレコーディングをしたことがなくて、スコアだったり、ライブ音源や映像っていう形でしかなかったので是非実現したかった」
●過去の曲を使うことに関しての躊躇はありませんでしたか?
椎名林檎:「曲に関する具体的な要望が監督から沢山あったら、また違ったのかもしれないけど、音楽制作に入る前に拝見した撮影済みの映像には“こういう新曲を書いて欲しい”っていう意味で過去の曲が貼り付けてあって。ただ、そういう要望に答えるのが一番難しいんですね。というのも、そういう方向での表現っていうのは、そこで終わっていて、それを焼き直すとなると、ものすごく質が下がってしまいますから。それだったら、自分が一番合うと思う曲を持ってきたいと思ったんです」
●そして、今回はどの曲も緻密なオーケストラ・アレンジが施されていますが、その作業はどのような進行だったんですか?
椎名林檎:「今回、『さくらん』の世界観を考えた時、技巧として、最新のテクノロジーは使うけれど、楽器は全部古典音楽に使われているものがいいんだろうなと思ったんです。8月の1ヶ月間をかけて、ネコさんと下北沢のスタジオでやりとりしてアレンジを詰めていったんです。ネコさんて、ピアノ・プレイがものすごくカッコイイんですけど、“こんな感じなの? ”って弾いてもらいながら、私のイメージに近づけて戴くっていうやり方で、そのやりとりをネコさんはカウンセリングっておっしゃっていたんですけど、そうやって、1曲1曲を解体して、曲の核になる部分は何なのか? 2人でよく吟味して、ネコさんが“じゃあ、譜面を書くよ”っていうところに至ったら、私は別の作業に入るという進行でした。あと、ネコさんて、すごく歌詞を気にされるので、新曲に関しては、朝までかけて書き、その寝ぼけ眼で下北沢へ走るって感じでした。録音に関しては、リズム隊を先に録る場合が多くて、上モノは後から何がどれくらい必要か。お見積もりとスケジュール待ちということが常に付きまとってました。実際にレコーディングで曲が形になっていく、その瞬間が一番興奮しました」

