平井堅 インタビュー

平井堅、新年第1弾シングルは“哀歌”と書いて“エレジー”と読む、映画『愛の流刑地』の主題歌ということでもわかる、強力な1曲である。「ここしばらく避けていた」というマイナーのメロディで、命も枯らす愛憎の様を描くこの曲の凄まじさは、まさしく新境地、だけどどこまでも平井節。彼の歌世界をまた広げる1曲になりそうだ。
取材・文/亀田裕香
嫌われてもいいから、強い曲で最近の流れをひっくり返したかったんです
MSN:すごい曲ですね。「来た! 」と思いました。新しくて、でも平井さんらしい。
平井堅:はい、ちょっと…今回は躊躇せずに行く、思い切りのいい曲を目指しました。もう思いっきり、ド暗い、どん底に突き落とすような曲を作りたかったんです。
MSN:とことん、というのはすごく伝わります。気持ちよかったですか?
平井堅:気持ちよかったですね! 何かをためらったり、いろんな要素に気を配ったりすることを、今回はいっさいやめたから。振り切るって気持ちいいですよね。爽快でした。今回はその世界観を明確にすることだけを目標に、一心不乱に作ったから、純度の高い、ピュアな気持ちで作れました。実は、もともとこの曲はシングル・リリースを予定していなかったんです。だから振り切っちゃおうと。
MSN:意外ですね。新しくて、すごく強い曲なんで、これでガツーンと売る気なのかと…。
平井堅:いやいやいや。正直、これはいろんな意味でリスキーな曲だと思いますね。ただ、こういう(新しい)曲をシングルとして出すことに意義があると思って、決意しました。トライの曲ですよね。女性言葉でうたったり、速い曲ではないけど、王道バラードではないし、とにかく暗いし…。でも嫌われてもいいやと思ったんですよ。嫌われてもいいから、強い曲で最近の流れをひっくり返したかったんです。
MSN:でも、嫌われないんじゃないですか、この曲。
平井堅:実は予想に反して、いいねと言ってくれる人が多くて…。うれしい誤算でしたね。
MSN:新しいけど、あくまで平井さんらしい、そういえばどうしてこういう曲なかったんだろう的な、今までと自然につながる曲だからじゃないでしょうか。個人的に最近の平井さんの自分で書く曲を聴くと、70〜80年代の『ザ・ベストテン』的な、日本の歌謡曲を思い出すんですが、それを突き詰めた曲だなあ、という印象もあって。
平井堅:そうですね。この曲はもう“哀歌(エレジー)”っていう日本歌謡的なタイトルと、愛というテーマをとにかく前面に押し出した曲で。自分の中にいろんな引き出しがあって…いや、そんなにはないんですけど(笑)…でもその引き出しには確実にJ-POP、昭和歌謡、もっといっちゃうと演歌は確実にありますからね。ひとところに留まるのが苦手で、いつもいろいろやって安心してるようなところがあるんですけど、それでも何をやっても、そういう歌謡路線、ベストテン世代的なものはもう自分の血となり肉となって染み込んでいて、それは何をやっても如実に出てきますよね。それは年齢とともに、より強く醸し出されるようになってるのかもしれない。

